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コラム COLUMN

会社を守れない保険の落とし穴

「私は医療保険も生命保険も入っているので、保険は大丈夫です」
経営者の方とお話ししていて、非常によく聞く言葉です。
実際、多くの社長が個人として何らかの保険には加入されています。
ですが、ここで一つ、かなり重要な問いがあります。
その保険、本当に“会社”を守れる内容になっていますか?

個人保険が守るのは「社長」と「家族」だけ

まず大前提として、個人で加入している保険が守る対象は、

  • 社長ご本人の生活
  • ご家族の生活費

この2つです。

一方で、個人保険では基本的に守れないものがあります。

  • 会社の運転資金
  • 銀行への返済
  • 社員の給与
  • 取引先への支払い

つまり、個人保険は「家庭」は守れても、「会社」は守れません。
ここを勘違いしたまま経営している社長は、正直かなり多いです。

社長が倒れた時、実際に会社で起こること

もし、あなたが明日から突然働けなくなったら、
会社では何が起こるでしょうか。

  • 売上が一気に落ちる
  • でも家賃・人件費・リース料は止まらない
  • 銀行返済は毎月やってくる
  • 社員は不安になり、転職を考え始める
  • 取引先は様子見に入り、発注が減る

多くの社長は「万一=死亡」と思いがちですが、
実際に経営に一番ダメージが出るのは、
死亡ではなく、「働けなくなること(就業不能)」です。

しかもこれは、数週間の話ではありません。
脳血管疾患、心疾患、がん、うつなどの場合、
半年〜1年以上、現場復帰できないケースも普通にあります。

なぜ個人保険では会社を守れないのか(構造の問題)

ここが一番重要なポイントです。

個人保険の保険金は、
→ 社長個人の口座に入金されます。

このお金を会社に使おうとすると、

  • 役員借入になる
  • 贈与扱いになる
  • 税務上の問題が出る
  • 自由に使えない

つまり、「会社の運転資金」としては非常に使いづらい。

一方、法人保険の場合は、
→ 保険金がそのまま会社の口座に入る
→ そのまま運転資金に使える
→ 給与も返済も支払える
ここが、決定的な違いです。

「保険に入っているのに潰れる会社」が多い理由

実際、黒字なのに資金が回らず倒産する会社は珍しくありません。
いわゆる「黒字倒産」です。

その多くに共通しているのが、

  • 社長個人の保険はしっかり入っている
  • でも会社の資金対策は何もしていない

という状態です。

つまり、
「保険に入っている」ことと
「会社が守れている」ことは、まったく別物
ということです。

経営者が最低限考えるべき3つの保険設計

経営者として最低限考えておくべきなのは、この3つです。

  1. 社長が働けなくなった時の資金(就業不能)
  2. 万一の死亡時の事業継続資金
  3. 将来の退職金・勇退資金

このうち、個人保険だけでカバーできるのは3くらいで、
1と2は、ほぼ法人設計が必要になります。

あなたの会社は大丈夫ですか?(セルフチェック)

少しだけ、現実的に考えてみてください。

  • 社長が半年働けなかったら、資金は持つか?
  • 社長の代わりに売上を作れる人はいるか?
  • 毎月の固定費はいくらか?
  • 銀行借入はいくら残っているか?

この質問に即答できない場合、
かなり高い確率で、会社は「社長依存型経営」です。

そしてその状態で、個人保険だけというのは、
リスク管理としては正直かなり危険です。

まとめ:保険は「入っているか」ではない

多くの社長が、こう言います。

「保険はちゃんと入っています」

でも本当に大切なのは、
誰のリスクを、誰のお金で、どこまで守れているかです。

個人保険は“家庭の保険”。
法人保険は“経営の保険”。

この役割を間違えたまま経営するのは、
シートベルトを締めずに高速道路を走るようなものです。

事故が起きなければ問題ありません。
でも、起きた瞬間に取り返しがつかなくなります。

保険は「節税のため」ではなく、
経営を続けるためのリスクマネジメントツールです。

一度、ご自身の会社の状態を、
「社長が倒れたらどうなるか?」という視点で、
冷静に見直してみてください。

それだけで、今までとは保険の見え方が変わるはずです。