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「守りながら増やす」ための具体プラン
人生の大きな節目、退職。
その際に手にするまとまった資金、退職金は、これからの生活の柱とも言える大切なお金です。
「この退職金をどう管理・運用すればいいのか」
「減らしたくないけれど、少しは増やしたい」
そんな悩みを抱える方も多いでしょう。
今回は、退職金1000万円を例に、現実的かつ堅実な運用プランをシミュレーションしながら考えていきます。
退職金運用の基本方針
退職金の運用において最も大事なのは、「リスクを取りすぎないこと」です。
退職金は、人生で最後に手にするまとまった大金であり、これを失うリスクはできるだけ避けるべきです。
とはいえ、全額を預金に置いておくと、インフレ(物価上昇)によって実質的な価値が目減りしてしまうリスクもあります。
そこで、運用の基本方針はこうなります。
- 安全性を重視しながら
- インフレリスクにも備え
- 少しだけ資産を成長させる
つまり、「守りながら、少し増やす」スタイルが理想です。
退職金1000万円の運用配分例
まず、1000万円を以下のように配分するモデルを紹介します。
退職金専用定期預金 | 400万円(40%) | 高金利キャンペーンを活用。元本保証、すぐ使う可能性がある資金として確保。 |
個人向け国債(変動10年) | 200万円(20%) | インフレに連動して金利が上がる。リスク低め。 |
債券型投資信託 | 150万円(15%) | 株式よりリスクが低く、債券中心で運用益を狙う。 |
バランス型投資信託(株式30%型) | 150万円(15%) | 長期運用でリスクを抑えつつ成長も期待。 |
新NISA(つみたて投資枠) | 100万円(10%) | 非課税制度を利用して、資産成長を効率的に図る。 |
この配分なら、安全資産(定期・国債)が全体の6割を占め、リスク資産も適度に取り入れるバランスの良い形になります。
20年後、80歳時点で資産はいくら?
この運用プランをもとに、年平均2〜4%程度の運用益を想定して、20年後(80歳)まで運用を続けた場合をシミュレーションしました。
その結果、1000万円が約1357万円に増えているという試算になりました。
ポイントは、「大きなリスクを取らずに」「着実に」増やしていくこと。
退職金をただ預金しているだけより、インフレリスクを防ぎながら資産を守る効果が期待できます。
さらに現実的に。取り崩し額を毎年増やすパターン
実際の老後生活では、資産を運用しながら少しずつ取り崩していく場面が多くなります。
特に、物価上昇(インフレ)にも備えるため、取り崩し額を毎年2%ずつ増やすパターンを想定してみました。
例えば、60歳で年間50万円を取り崩しスタートすると、80歳には年74万円近く取り崩すペースになります。
この設計で運用を続けた場合、20年後には約550万円が手元に残る見込みです。
取り崩し額を年々増やしながらも、資産を大きく減らさず、生活水準を維持できる設計となっています。
運用の有無でこれだけ違う
仮に運用を一切せず、定期預金に置いておくだけだった場合、
• 毎年50万円×20年=1000万円→0円
つまり、資産は20年でほぼゼロになります。
一方、運用をしながら取り崩す場合、
• 20年後も700万円以上が残る
これが運用するかしないかの大きな差です。
「運用しながら取り崩す」というスタイルは、長生きリスク(予想より長く生きた場合の資金不足)にも備える重要な手段と言えます。
さらに、取り崩しペースをもう少し緩やかにすれば、資産はより長持ちし、老後の安心感が高まるでしょう。
退職金運用の注意点
退職金を運用する際は、以下のポイントにも注意が必要です。
- 全額を一度に投資しない(タイミング分散が大事)
- 退職金専用定期預金の満期後に注意(低金利商品に自動継続されないように)
- 金融機関から勧められる商品をうのみにしない(手数料の高い商品に誘導されることも)
- 「絶対儲かる」という甘い話には絶対に乗らない
- 定期的にポートフォリオを見直し、リスク資産を徐々に減らしていく
退職金は、あなたのこれからの人生を支える大切な資金です。
焦らず、堅実に、でも過度に守りすぎず。
「守りながら、少し増やす」というバランス感覚を忘れずに、資産運用に取り組んでいきましょう。
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